「キカイ」の子
「いや~ゴメン、ゴメン。待たせちゃったね。」







数十分経ってから、健一は部屋に入ってきた。






「遅いよ~」





待ちくたびれた夏美がぼやいた。






「ゴメンね~、はいコレお詫びの印。」




そう言って、健一は夏美と冬彦に、缶コーヒーとパックのミックスジュースを渡した。





…ミックスジュース?




冬彦が怪訝な顔で、それを手に取ろうとすると、


「ダメッ!これはあたしのっ!」


と夏美に手をはたかれてしまった。





「冬彦はこっち。」



そう言って、缶コーヒーを夏美は手渡した。







冬彦はただ、嬉しそうにミックスジュースのパックにストローを突き刺す彼女を、呆然と見つめるしかなかった。
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