「キカイ」の子
「ふふっ…相変わらず、好きなんだね、それ。」




その光景を、机の向こう側にある椅子に座って、見ていた健一が言った。





「えへへ…」





夏美はそう言われて、照れながらも喜びを隠さずに笑った。




「夏美ちゃんはね、昔っからミックスジュースが大好きだったんだ。」






呆然としている冬彦に健一は、昔を思い出しながら語り出した。




「さっきまでみたいに、こうやって、よく彼女を一人でここで待たせてたんだ。
それで、部屋に入ると、だいたい彼女は…怒ってむくれているか、寂しくて泣いているかのどっちかだったんだよ。」




「健一さん止めてよ、恥ずかしいし…」



夏美は、そう言って頬を赤く染めていた。




健一は、話すのを止めるつもりはないらしく、更に続けた。
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