「キカイ」の子

「ちょっと～健一さん…」




夏美もおそらく同じことを思い出していたんだろう、彼女は健一の方を、眉をひそめながら見た。



「ふふっ…ゴメンゴメン。

そうしたらね…彼女は、

『あっ！』

って驚いた声を出して、ジュースを見て、急にそれを取ったんだよ。」






健一が再び話し出すと、夏美は顔を赤くして、ジュースを飲みながら、思い出に帰り始めた。




「でも、彼女は自分が何をしたのか分かってね…それを僕に返そうとしたんだが…ふふっ…よっぽど返したくなかったんだろうね、彼女ったら、僕を恨めしそうに見ながら…







『これ？のみたい？』





って言ったんだよ…それで…僕が、いらないから飲んで良いよ、って言ったら、
彼女は見たこともない笑顔を浮かべてね…今みたいに、嬉しそうに飲んでいたんだ…」





健一は懐かしそうに、夏美を見ていた。