「キカイ」の子
「ついに明日か…」



冬彦は、自分の部屋につるされたカレンダーを見ながら、そう言った。






彼の後ろには、黒いボストンバッグが置かれていた。







…父さん達は明日もいないから、夕方までに帰ってくればいいよね…






聡達はここ最近、更に忙しくなり、家に帰る機会がほとんどなかった。







だが、冬彦にとって、そんなことは慣れたものだから、全然寂しくなかったし、むしろ、夏美との旅行を邪魔されないので、好都合だった。











…明日、晴れるかな?





冬彦は、窓を開け、夜空を見上げた。






今日、彼は何回も、晴れるという天気予報を確認していた。












夜空の星や月は、雲に覆われることなく、その暗い空間を淡い光で照らしていた。
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