「キカイ」の子
「おはよう。夏美。」




冬彦は駆け寄って、夏美に挨拶した。




「うん…おはよう。冬彦…」





冬彦は夏美の声に元気がないことに気づいた。





「どうしたの?具合、悪いの?」



「ううん…冬彦ぉ…」



夏美が甘えた声を出して冬彦を見た。



冬彦は心配そうに彼女を見ている。




「何?夏美?」





…やっぱり…体の調子が悪いのかな?






冬彦がそんなことを考えていると、夏美が口を開いた。















「…暑い。」








冬彦は瞬時に固まってしまい、夏美はだるそうに立っている。








二人が固まった近くで、セミがあざ笑うかのように短く鳴いた後、青い空に飛び立っていった。
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