「キカイ」の子
海辺に着くと、二人はすぐに更衣室に向かった。





それから数分経って、青い水着を穿いた冬彦が出てきた。





「あれ?夏美はまだなのかな?」





そう言って、冬彦は辺りを見回した。





やはり夏も終わりなので、砂浜を埋め尽くすほどの人数はいなかったが、それでも、三十人ほどいた。






冬彦がそうやって、海の方を見ていると、


「うりゃっ」


という声と共に、突然、彼の視界は真っ暗になった。





「ちょっと、夏美。何すんのさ。」





冬彦はそう言って、頭に掛けられたタオルを取って、後ろを振り返った。









そこには、赤い水着を着た夏美が立っていた。









「…………。」







冬彦は、その姿に少しの間、見とれていた。
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