「キカイ」の子
「はぁ、ほら、終わったよ。」




数分後、パンパンに膨れたマットを持って、冬彦が言った。




「うん。よし!なら、さっそく海に行こう!」






夏美は彼の手からマットを奪い取ると、海に向かって走り出した。






「あ!ちょっと、待ってよ。夏美!」





冬彦も慌てて、彼女を追いかけた。














それから数十分、冬彦達は海辺ではしゃいでいたが、夏美が少し疲れたので休むことにした。






「冬彦の持ってきたマットの出番かな?」





夏美は、荒い息をつきながら水に浮かぶマットの上に乗った。




バランスを崩して転覆するといけないので、冬彦は海の中からマットを支えた。






「大丈夫?辛くない?」





夏美が心配そうに冬彦に訊くと、彼は、


「大丈夫だよ。まだ、そんなに疲れてないしさ。」



と、明るく答えた。






夏美はその言葉を信じて、マットの上で横になることにした。







静かに揺れる波と、時折吹く優しい風が二人を包んだ。
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