「キカイ」の子
「勝負…って、何の?」

「決まってるだろ。ゴールした数だよ。」


透は胸を張って言った。






「そんな…サッカー部のキャプテンに勝てるはずがないよ。」


冬彦が困った口調でそう言うと、


「……前に、俺のいたチーム相手に、ハットトリック決めた奴が言うなよ…」



と、透がジト目でぼやいた。



「あれは…たまたまだよ。」

「たまたまが、三回もあってたまるか!」


そう突っ込んだ後、透は怒ったような態度を見せたが、本当に怒っているようには微塵も感じられなかった。










彼は冬彦のことを、敬意を込めて、「天才」と呼ぶ方だった。
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