「キカイ」の子
冬彦達が海に来て、四時間ぐらい経っただろうか、海はだんだんと茜色に染まり始めていた。







二人は、人気の少なくなった浜辺で並んで座っていた。





「……寒い。」






濡れた体に、風が吹き付け、夏美は両肩をさすった。





「大丈夫?…はい。」





冬彦は、手に持っていたタオルを夏美に掛けてやった。





「えへへ…ありがとう。」




夏美はそう言うと、冬彦にもたれかかってきた。





「ちょ、夏美…」





冬彦は驚いて辺りを見回したが、誰もいなかった。





「いいじゃん。今は二人っきりなんだしさ…」





夏美は、沈んでいく夕日を見ながらそう言った。





冬彦はそれを聞くと黙って、同じように海を眺めた。









それから数分経って、夏美が口を開いた。
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