「キカイ」の子
冬彦は一瞬体を強張らせたが、表情を変えず、黙っていた。






「海……だと?」






聡がそう言った後、冬彦は上目遣いで彼を見た。






聡の顔は、さっきとは変わって、青ざめた顔になっていた。





「とりあえず、リビングに行きましょう。」





郁恵も少し動揺していたようだが、当初の目的を果たすことにした。








冬彦の足取りは重く、彼はまるで、自分の足が鉛で、できているように感じた。










リビングに来ると、郁恵が冬彦を見て話した。




「冬彦、まずあなたはお風呂に入りなさい。話はその後で…いいですよね?聡さん?」






「あぁ。」


聡は怒気のこもった声で短く頷いた。







冬彦は郁恵に促されるまま風呂に入った。









広い浴槽の中で、冬彦は水面に映る自分の顔を見て、深いため息を吐いた。
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