「キカイ」の子
風呂から上がった冬彦は、リビングのソファーに座らされた。




彼の向かいには聡が座っており、彼の斜め前には郁恵が一人用のソファーに腰掛けていた。







「冬彦…海に行っていたのか?」





聡は、冬彦が風呂に入っている間に大分落ち着いたようで、彼は冷静に冬彦に訊いた。







「………はい。」





冬彦は消え入りそうな声で、それだけを言った。






冬彦がそう言うと、聡は郁恵の方に顔を向けた。






「郁恵は聞いていたのか?」



「いいえ。」



「…何故、黙っていたんだ?」





聡の問いに冬彦は答えず、黙って下を向いていた。





…話そうと思っても、どうせ家にいなかったじゃないか…







冬彦がそう思った時、彼の胸を久々にあの痛みが襲った。
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