「キカイ」の子
夏休みが終わるまでの数日、あの夜から聡達の監視が厳しくなり、今日も冬彦は部屋に閉じこもって、勉強していた。






監視といっても、聡か郁恵のどちらかが必ず昼間に帰ってきて、冬彦が家にいるかどうかを確認する程度だった。







冬彦は、それに対し、多少の不快感を持っていたが、別にどこかに行く予定もないので、部屋の中で勉強することにした。








しかし、勉強の途中で、あの夜の夏美の後ろ姿を思い出してしまい、思うように手が進まなかった。





そして、冬彦はどうやら体調を崩したようで、胸の痛みやあの嫌な音が、度々彼を襲った。







冬彦は胸を押さえながら、窓の外の景色を何気なく見た。




いつの間にか、セミの鳴き声は聞こえなくなり、空に浮かんでいた巨大な入道雲もどこかにいってしまっていた。









そして、冬彦の中学生活最後の夏休みが明けた。
< 191 / 363 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop