「キカイ」の子
「おはよ~フユピコ。今日から、二学期だな。」







登校途中、夏休みの間一度も会わなかった透が、冬彦に駆け寄った。






「おはよう、透。久しぶりだね。」







冬彦は、透の顔を見ると何故だか、笑顔になっていた。





「おう。久しぶりだな。っていうか…フユピコ…夏美と一緒じゃないのか?」



夏美がいないことを不思議に思った透が冬彦に訊いた。



「え…?何で?」




「何でって…前から思ってたんだけど…おまえら、つきあってんだろ?しかも、夏美の家って、フユピコの家と学校の間にあるじゃん。一緒に来ない方が不思議だろ。」




冬彦はそう言われて、考え込んでしまった。




…そう言えば、確かに、一度も一緒に来たことないな…







冬彦のそんな様子を見ながら、呆れ気味に透が言った。






「まぁ、おまえらなりの事情があんのかもしんねぇけどさ…できるなら、迎えに行ってやりなよ。」



「うん…そうだね。」






冬彦がそう言うのと同時に、二人は校門を通った。
< 192 / 363 >

この作品をシェア

pagetop