「キカイ」の子
帰り道の途中、冬彦は十字路で立ち止まっていた。




…夏美…どうしたんだろ…






冬彦は居ても立っても居られず、夏美のいる施設へと歩いていった。







十字路から歩いて二十分ほどで、その施設は見えてきた。







冬彦は施設の正門の前に立つと、何となく周りを見回した。






正門に向かって右側には、「やどりぎ」と書いてある古い看板が掛けられていた。



門の向こうには、広い庭と大きな木があった。





その木の更に奥に、白い壁が見えた。







それが建物だった。


白い壁と青い屋根の横長の建物で、冬彦の立つ場所からは、窓が六つだけ見えた。












「あら?うちの施設に何かご用?」






門の前に立つ冬彦の後ろから、温かみのある女性の声が聞こえた。
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