「キカイ」の子
「え…?」




冬彦は急に話しかけられ、驚いて後ろを振り返った。






すると、そこには、温和な顔を浮かべた、老婆が立っていた。





「あら?あなた…もしかして、冬彦くん?」





「えっ?…えぇ、そうですけど…」




…何で僕のことを…



冬彦が怪訝な顔をしていると、その老婆は微笑みながら言った。





「やっぱり?そうだと思ったのよ…本当、夏美ちゃんの言った通りの子だね。」




「夏美が…?」





「えぇ、えぇ。彼女ったら、毎日、あなたのことを嬉しそうに話してたのよ。年寄りの耳にたこができてしまうほどにねぇ。」






その老婆は、そう言うと、穏やかに笑い始めた。




「あ、あの…あなたは?」





冬彦は、何故この老婆に夏美がそこまで話しているのか不思議に思い、尋ねた。




「私?私は、尾野と言います。この施設の代表よ。初めまして、冬彦くん」
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