「キカイ」の子

「尾野さん…？」



「えぇそうよ。尾野かず子。この施設の代表でもあり、ここの子達の親でもあるわねぇ。…親というよりも、お婆ちゃんかしらね。ふふふ…」




尾野はそう言って笑った後、冬彦の顔をまじまじとしばらく見つめたて言った。




「世間の言うことなんか、当てにならないものねぇ。冬彦くんは、ちゃんとした子じゃない。


いったい誰なんだろうねぇ、あなたのことを『キカイ』だなんて言ったのは…」


冬彦はそれを聞いて、何と答えて良いか分からず黙っていた。




冬彦が黙っているのを、気を悪くしたものと勘違いした尾野は、



「ごめんなさい。…嫌なこと言っちゃったわねぇ。」



と、申し訳なさそうに謝った。





「え、あぁ、いえ…そういうわけじゃ。」





冬彦は慌てて否定した後、自分がここに来た目的を思い出し、尾野に尋ねた。