「キカイ」の子
翌日、冬彦と透は並んで登校していたが、昨日のような明るい会話はしなかった。






「そっか…冬彦も知ってたのか。」



「うん。…昨日、やどりぎに寄った時に、尾野さんから聞いた…」




「そっか…オレは、父さんが教えてくれた。」





「健一さんは…何て?」




「何も…ただ…悔しそうだったよ…」





透がそう言った後、数秒の沈黙が流れた。





二人が黙ったまま、校門を抜けようとした時、冬彦が立ち止まった。





「……冬彦?」





透が、不思議そうに、振り返りながら言った。






「今日は…夏美、来るのかな…」






冬彦は、校門の前で、校舎の向こうにある秋空を見ながら言った。








「…さあな。」








透が小さく呟いた。
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