「キカイ」の子
冬彦が夏美に会えないまま、一週間が過ぎていた。








学校から帰ってきた冬彦は、自分の部屋でベッドに仰向けに寝転がっていた。






……夏美…






この頃の冬彦は、暇さえあれば夏美のことを考えて、ふさいでいた。







冬彦は夏美になかなか会えないことに、何か作為的な匂いを感じ取っていた。






だが、それが一体誰の仕業なのか、彼には分からなかった。





ただ毎日、彼は夏美に会えない苛立ちを抱え込むしかなかった。









「……痛…」






そして、その苛立ちが胸に渦巻く度に、彼はあの胸の痛みに襲われていた。











今日も、荒い息を吐き、胸を押さえ、背中を丸めながら、冬彦はベッドの上でもがいているしかなかった。
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