「キカイ」の子
放課後になり、冬彦は帰る用意をしていた。






そして、冬彦が校門の前まで来ると、誰かが門にもたれ掛かって立っていた。








「……透?」







冬彦はそう言って、足早に門に近づいていった。






その人物は、やはり透だった。







「透。今日は…どうしたの?先生も心配してたよ。」







冬彦は、心配そうに透の顔を見た。







「……透?」







透は、どうやら怒っているようだった。






「…どうかしてんのは…おまえだろ?…冬彦…」






透が固く閉じていた口を開き、低い声で言った。




「な、何が…?」





いつもと違う透の様子に、冬彦はたじろいでいた。






「何が…じゃないだろっ!」






ついに透が顔を真っ赤にして怒鳴った。






冬彦は驚いて、体をビクッと震わせると、固まっていた。






透は、冬彦の様子を気にしないで怒鳴り続けたが、その声には少し悲しみが混じっていた。










「今日は…夏美が入院する日だろ!何で彼氏のおまえが…付き添ってやんねぇんだよっ!」
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