「キカイ」の子
冬彦は学校から透に連れられて、病院までやって来た。







迷いそうになる病院の道を、透は後ろの冬彦を一度も見ずに進み、ある部屋の前で止まった。







「……ここだよ…」




透は冬彦に背を向けながら、小さく言った。







……ここに夏美が…





冬彦は透に言われ、壁に掛けられたプレートを見た。







そこには、夏美の名前が書かれていた。






冬彦が中に入ろうと引き戸の取っ手に手を伸ばした時、突然その戸が開けられた。










「健一さん…」







驚いている冬彦の前に、冬彦と同じような顔をした健一が立っていた。
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