「キカイ」の子
「さて…何から話そうかな……」




健一は、冬彦を自分の部屋に入れると白衣を脱ぎながら、机に向かい、椅子に座った。






「どうしたんだい、高椿君?遠慮しないで、そこのソファーに座って。」







ずっと入り口付近に立っていた冬彦は、健一にそう促されたが、座るかどうか迷っていた。






…夏美に会いたいのに…







そんな冬彦を見た健一は、落ち着いた声で、


「おそらく、ちょっと話が長くなると思うから、座った方がいいよ?」


と言った。






冬彦は、不満そうにソファーに座ると、

「あの、夏美のことで話があるって、いったい、どういうことなんですか?」


と苛立ちを隠さずに言った。







健一は、冬彦とは対照的に落ち着いた表情を浮かべて、話し始めた。
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