「キカイ」の子
「そうだね…まず、今回の入院の件…君は知っていたのかな?」



「いいえ…何も聞いてません。」




冬彦が短く答えると、健一は何度か頷いた。






「うん、だろうね…そうでなければ、今朝、君を見かけたはずだ。

では、最近…夏美ちゃんと話したことはあるかい?」






「………いいえ。」



「ふむ…やっぱりか。」






健一は眉間にしわを寄せて、少しの間、黙っていたが、また話し始めた。







「それでは、彼女の事を、透から何か聞いたかい?」






「いいえ。…いったい何なんですか?さっきから…」





冬彦は、健一が遠回しに聞いてくるので、さらに苛立っていた。






「ふむ…実はね、夏美ちゃんに気になることを言われたんだ。」




「気になること?」




冬彦は苛立ちを忘れ、健一の話しに集中した。










「彼女から、君を病室に入れないで欲しい…と頼まれたんだ。」
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