「キカイ」の子
「え?そんなはずは…だって…僕は毎日、やどりぎに行っていたんですよ?」






冬彦は、驚きの連続で混乱している頭をフル回転させて、考えながら話した。







健一は、彼の話を聞いた後、黙って考えていたが、数分後には答えにたどり着いたような顔をした。






「そういうことか…まったく…夏美ちゃんも…困った子だな…」







健一は、そう言って、頭を掻きながら、やれやれ、といった顔をした。





「あ、あの…夏美はいったい…」







冬彦は、たまらず健一に尋ねていた。






「ん?しかし…このことは…本人から聞くべきじゃないかな?僕からは何も言えないよ。」




「そんな…」






冬彦は落胆して、顔を伏せた。






「まぁ、夏美ちゃんはああ言ったけど…見舞いに行くのは構わないから、その後、本人に訊きなさい。それじゃ…僕は仕事に戻らなきゃ…」






健一はそう言って、椅子から立ち上がり、ドアまで歩き出した。






冬彦もしぶしぶ、健一の後に続いて、一緒に部屋を出た。
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