「キカイ」の子
冬彦は健一と別れ、一人で夏美の病室へと向かっていた。







…夏美は…何で…僕を避けたんだろう…わけわかんないよ…





彼は病院の中を歩きながら、ずっと夏美の行動の理由を考えていた。









「………冬彦。」







冬彦は突如掛けられた声に驚いて、考えるのを止めた。








「透……」







冬彦の前には、透が悲しそうな顔で立っていた。








冬彦は夏美の病室の前に来ていたのだが、深く考え込んでいたため、気づかなかった。







「冬彦…夏美が、話があるって…」



「え…?」




冬彦は、ゆっくりと病室のドアを見た。





………夏美…






彼の心は徐々に、不安で満ちていった。





不安そうな顔を浮かべる冬彦を見た透は、




「冬彦…ちゃんと話さなきゃ…駄目だ。」



と低い声で言った。





「うん…」






冬彦は、不安のせいでざわつく胸を押さえながら、病室の取っ手を掴んだ。
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