「キカイ」の子
「さっきもね…透に怒られちゃった…」



「…透に?」






「…うん。…冬彦に何で言わなかったんだ!…ってね…」







「……夏美。」







冬彦は、自嘲的に笑って話す夏美を、ただ見ているしかなかった。







「……ねぇ、冬彦……」







夏美は、冬彦を見ないで、うつむいた。






「何?…夏美?」







冬彦は、彼女を気遣った声を出した。










それから、数分間の沈黙が流れた。







冬彦は、声を掛けることができずに、思い詰めた様子の夏美を見守っていた。








すると、夏美は、ようやく重い口を開いた。













「別れよう?…冬彦。」
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