「キカイ」の子
「…え?」





冬彦は夏美の言葉を信じられずに、聞き返した。







「な、…何で?」





「…何かね、冬彦のこと…好きじゃなくなっちゃった。」







夏美はだるそうに、天井を見上げて、明るい声で言った。







「な、何言ってるの…夏美?」





「だって…冬彦って、あたしが思ってるような人じゃなかったんだもん…」






…夏美…な、何を…





冬彦は、あまりの衝撃に言葉を失い、呆然としていた。






「だから、別れよっ?……話したいことって、そのことなんだ。話はそれだけ…それじゃ、出てっ…」

「ふざけるなっ!」







冬彦は、自分でも聞いたことがないほどの大きな声で怒鳴って、椅子から立ち上がった。
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