「キカイ」の子
夏美は、冬彦の豹変ぶりに驚いて、固まってしまっていたが、すぐに、馬鹿にしたような態度で話した。








「……な、な~に?冬彦ったら、キレてんの?」






冬彦はその言葉を聞き、さらに逆上した。






「夏美っ!僕はっ!僕はっ………うっ…」






冬彦は、言葉を続けようとしたが、胸に強烈な痛みが走り、話すことができなかった。








冬彦は、苦しそうな顔で胸を押さえると、ヨロヨロと後ろに下がった。







キリキリキリキリ…






…ああっ!胸がっ!頭がっ!…






冬彦は夏美の方を向きながら、ゆっくりと後ずさった。




その時、病室のドアが開き、透が外から覗き込んだ。







「冬彦?どうし……冬彦っ!」






透は冬彦の異変に気づくと、すぐさま彼に駆け寄った。








…夏美、夏美…




キリキリキリキリキリ…







頭があの嫌な音で埋め尽くされていく中、冬彦は何とか夏美を見た。








彼女は、大粒の涙を流して、冬彦を見ていた。








そして、冬彦の世界は闇に包まれた。
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