「キカイ」の子
「夏美ちゃんね…あれから、ずっとふさぎ込んでいるんだ。君は、何か知らない?」











冬彦は何も言わず、黙り込んだ。









「………ふぅ、君もだんまりか…

何があったのかは、大体予想がつくけど…君はそれでいいのかい?」







健一の質問に答えず、冬彦は下を向いていた。








しばらくの時間が経って、健一は、


「…はぁ、これ以上は、何を訊いても無駄みたいだね。」


と、頭を掻きながら言った。




「すみません…健一さん。」







冬彦がそう言うと、健一は呆れたように笑って、


「いや、いいよ。とりあえず、今日は帰りなさい。」


と軽い口調で言った。










冬彦は、それに従い、家に帰ることにした。
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