「キカイ」の子
冬彦は、透に連れられて、学校の屋上に来た。






「透、話って、何?」






冬彦は、フェンスにもたれている透に訊いた。






「…夏美の、ことだよ。」






透は話し辛そうに、声を絞り出した。






冬彦は、入り口付近から、透の隣へと歩きながら話した。







「……透、僕には…何もできないよ。」






「…そんなことねぇよ。冬彦には、まだ、できることがある。」






「できること?」





「夏美を、励ましてやってくれよ。」











「無理だよ…僕は、夏美に振られたんだから…」






冬彦が悲しそうな声でそう言うと、透は唇を真一文字に結んだ。





「夏美を元気付けるなら、透がやれば…!」


ガシャンッ!







冬彦が言い終わる前に、透が冬彦の胸ぐらを掴み、フェンスに押しつけていた。
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