「キカイ」の子

翌日は土曜日で、学校が休みだったので、冬彦と透は午前から病院にいた。








病院に着くと、冬彦は夏美に会う前に、健一に会うことにした。







「それじゃ、透は先に、夏美に会いに行ってよ。」





「わかった。じゃあな。」







透は冬彦の頼みに応えると、夏美の病室に走って行った。







冬彦は、透の後ろ姿をしばらく見ていたが、振り返り、健一の部屋に向かった。











何度か訪れたため、冬彦は、同じように見える病院の廊下を迷わずに、健一の部屋にたどり着くことが出来た。








冬彦は、二、三回軽くドアをノックした。







「はい。どうぞ…」






ドアの向こうから、健一の落ち着いた声が聞こえた。







冬彦は、ドアノブに手を掛けると、ゆっくりとドアを開けた。