「キカイ」の子
…夏美
冬彦がゆっくりと目を開けると、さっきまで震えていた自分の手が、しっかりと引き戸の取っ手を掴んでいるのが見えた。
いつの間にか、汗も引いていた。
…僕は夏美に会わなきゃ…例え、これが最後になったとしても、あんな風に泣いている夏美の姿が…僕達の最後の思い出になるなんて…そんなのは、嫌だから…それに…何より…僕は……
…僕は夏美に会いたいんだ!
冬彦の目には、もう、怯えの色などなかった。
彼は、病室のドアを開け始めた。
あの時は、まるで鉄で出来ているかのように重く感じたドアも、今は普通に開けることが出来た。
冬彦が病室に入ると、丸椅子に座っている透の背中が見えた。
夏美の様子は透が邪魔で、冬彦には分からなかった。
透は扉が開いたことに気付くと、振り返って冬彦を見た。
「お!来た来た。夏美…ほら、見舞いの品だぜ!持ってくんのに苦労したんだからな~」
透はそう言って立ち上がると、横に退いた。
その後、冬彦の耳に聞き慣れた、明るい声が聞こえてきた。
冬彦がゆっくりと目を開けると、さっきまで震えていた自分の手が、しっかりと引き戸の取っ手を掴んでいるのが見えた。
いつの間にか、汗も引いていた。
…僕は夏美に会わなきゃ…例え、これが最後になったとしても、あんな風に泣いている夏美の姿が…僕達の最後の思い出になるなんて…そんなのは、嫌だから…それに…何より…僕は……
…僕は夏美に会いたいんだ!
冬彦の目には、もう、怯えの色などなかった。
彼は、病室のドアを開け始めた。
あの時は、まるで鉄で出来ているかのように重く感じたドアも、今は普通に開けることが出来た。
冬彦が病室に入ると、丸椅子に座っている透の背中が見えた。
夏美の様子は透が邪魔で、冬彦には分からなかった。
透は扉が開いたことに気付くと、振り返って冬彦を見た。
「お!来た来た。夏美…ほら、見舞いの品だぜ!持ってくんのに苦労したんだからな~」
透はそう言って立ち上がると、横に退いた。
その後、冬彦の耳に聞き慣れた、明るい声が聞こえてきた。