「キカイ」の子
そんな二人のやり取りを、後ろから眺めていた健一は、苦笑しながら言った。






「二人とも…ここは一応、病院だから、あんまりデートに力を入れすぎないでよ?」








健一の言葉に二人はまた、顔を赤くさせた。






「そ、それじゃ!夏美、またね!」






「う、うん!」






冬彦は、夏美と慌ただしく会話すると、いそいそと病室を出た。









冬彦が病室から出ると、透が待ちくたびれた様子で、廊下の椅子に腰かけているのが見えた。








「…や~っとかよ。まったく…話すの長すぎだぜ…」






透が呆れたようにそう言うと、冬彦はなぜか険しい表情を浮かべた。








「……透…聞いてたね?」







冬彦の言葉を聞くと、透は体をビクッと震わせた。







「な…何を…?」






透の様子を見た冬彦は呆れながら、少し笑った。







「透、目…真っ赤だよ?」







「えぇっ!」






その時の透の目と鼻先は赤くなっていて、彼の頬にはうっすらと涙の跡があった。
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