「キカイ」の子
「ああ、いいのいいの。受けても受けなくても、たいして変わんないから。」





冬彦は、その言葉を聞いて気が楽になり、顔を緩ませた。







「でもさ!冬彦は大丈夫なの?」






冬彦が微笑んだ後、夏美は気づいたように話し始めた。







「何が?」







「勉強だよ~、ここんとこ、毎日あたしに会いに来てくれてるけど…勉強はしてるの?」





「……うん。してるよ。父さん達の目も光ってるしね。」






「そう…なら…いいんだけど…」


夏美は、冬彦の答えに納得できていないような声を出した。







冬彦は確かに夏美に会いに来ていたが、家に帰れば、聡や郁恵が帰ってくるまで、彼はちゃんと勉強していた。






しかし、彼は最近ある疑問を抱え、その悩みが時折、彼の勉強を妨げていた。












……僕は、どうして、勉強しているんだろう?
< 244 / 363 >

この作品をシェア

pagetop