「キカイ」の子
冬彦は痛みを堪えながらベッドから降りると、ヨロヨロとドアに向かって歩き出した。





ドア越しに聞こえる口論は次第に激しさを増し、冬彦がドアの前に立った頃には、誰と誰が言い合っているのかはっきりと分かるほどの大きさになっていた。








……この声は、父さんと………天野先生?







冬彦は盗み聞きをするつもりはなかったが、聡とのいざこざが彼をその場に留まらせ、結果として盗み聞きをする格好になってしまった。








「どうなっているんだ!天野!冬彦の…冬彦の容態は…!?」






聡はかなり取り乱しているようで、冬彦が聞いたこともない狼狽えた声を出していた。
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