「キカイ」の子
開け放たれたドアはスローモーションになったかのように、ゆっくりと開き、冬彦の視界に、徐々に聡の姿が入ってきた。








聡とその向かいにいる天野は、急にドアが開いたことに驚き、突然現れた冬彦を二人揃って注視した。




「な……」
「冬彦……」






「父さん…今のは…?いったい…」






冬彦はすがるような声で、聡に詰め寄った。





「父さん!いったい何なの?作られた…って?」





「あ…ううん…」






聡は苦虫を噛み潰したような顔をし、咳払いを始めた。




冬彦は、答えようとしない聡から顔をそらし、天野に話し掛けた。




「天野先生!いったい……」





「や…それは…」






天野も聡と同じように言葉に詰まると、聡の方へ小刻みに目配せをしていた。
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