「キカイ」の子
「ヒトじゃない…?」



冬彦は感情を抑えながら、健一に尋ねた。







「…そう。君はヒトじゃない。機械なんだ。」






……僕が機械…?






俄には信じがたい事実を突き付けられた冬彦は、健一が嘘をついていないかと観察したが、彼からはそんな様子は微塵も感じられなかった。








健一は澄んだ目で冬彦を見て、話を続けた。






「すぐには…信じられないだろうね。当たり前だ。…僕だって最初知った時は信じられなかった。…でもね…事実なんだ。」









「事実」という響きが冬彦の胸に突き刺さり、彼の背中には悪寒が走った。






「……僕は、僕は…」




冬彦はパニックに陥りそうになる自分を必死に抑え、冷静に話そうとしたが難しかった。






「落ち着いて…高椿君。ゆっくりと順序だてて説明するから…」







健一は、冬彦とは裏腹に落ち着いた様子で話し始めた。
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