「キカイ」の子
冬彦はゆっくりと夏美を起こし、その体を支えられるようにベッドを起こした。




「あ、ありがと…ってか、冬彦、どうしてここに…?」






「それは……」






冬彦はチラッと健一を見たが、彼は冬彦達に背を向けたまま、何も言わずに窓の外を見ていた。







『自分で言いなさい。』







健一の背中が冬彦にそう話しかけているようだった。







冬彦は夏美にどう話そうか考え始めた。






彼が考えている間、夏美は不安そうに冬彦と健一を交互に見ていた。








数分後、冬彦は一呼吸した後、夏美に語りかけた。








「夏美……ここから出よう。」
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