「キカイ」の子
「……どこに…連れていくんだい?」




寒い病院の廊下で並んで立つ冬彦と健一のうち、健一が口を開いた。




今、病室では夏美が外に出る支度をしており、二人は外でそれが終わるのを待っていた。




冬彦は少し考えた後、
「僕達の…始まりの場所…」

とだけ言った。




「……そう。とりあえず…学校まで車で送るよ。今はまだ始発も出てないしね。」




「……ありがとうございます、健一さん。」



冬彦は深く頭を下げた。





それから数分経って、廊下に小さな鞄を手に持った夏美がドアを開けて現れた。
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