「キカイ」の子
「どうして?」



「あ…うん…」




冬彦は少し困った顔をしていた。



「ね~どうして?」




夏美がもどかしそうに足をばたつかせた。





「うわっ!ちょっ!やめなよ!」




バランスが不安定になり冬彦は夏美を落としそうになる。





「じゃあ…答えてよ。」






冬彦は夏美をおぶり直し、ため息を吐いた後話し始めた。





「……僕はここで育ったけど…楽しかった思いでなんか無いんだ…

僕は小さい頃から一人っきりで勉強してた。父さんも母さんも働いてたから、家にいる時はほとんど一人だったんだ…


そうなるとこの家は……寂しすぎるよ。」












「そう……」




夏美はそう言うと、今度は悲しそうな目で冬彦の家を見ていた。
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