「キカイ」の子
……透







冬彦の顔に透の笑顔が浮かんだ。








冬彦達の脱走ともいえるこの逃避行を彼が知った時、その彼の笑顔がどうなるのかを、冬彦は想像した。






…怒るかな?…それとも…






冬彦がそうやって立ち尽くしていると、夏美が背中から話し掛けた。






「みんな、多分…最初は怒るし…悲しむと思う…でも、きっといつかはみんな、笑ってくれる。


凄く勝手な言い分だけどね…へへっ…


……だからっ!冬彦も頑張ってよ!いつかはお父さんと仲良くしてよね?」





そう言って夏美は冬彦の頭をくしゃくしゃっと撫でた。






冬彦は何も言わずに再び歩き出した。
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