「キカイ」の子
「……ここは…」




冬彦の家を後にしてからしばらくして、夏美が声をあげた。






冬彦が連れてきた場所は、二人の物語の始まりの地である、柊神社だった。






「冬彦……どうして……ここに…?」





冬彦は夏美の問いを無視して境内へと向かった。


そして、以前夏美が彼の腕を引っ張って走った所を通る。





祭りの時とは、朝靄のせいか、周りの景色の表情も随分と変わっていた。










二人とも何も話さずに木の間を抜けていく。








そうして数分経つと、目の前が開けてきた。












二人は、夏美が冬彦に思いを告げたあの丘へとたどり着いた。
< 338 / 363 >

この作品をシェア

pagetop