「キカイ」の子
「……冬彦さ……私がいじめられてたこと…知ってる?」




「え!?…し、知らないよ、そんなこと。」





冬彦は予想外の答えが返ってきたので少し戸惑っていた。






「………やっぱり……覚えてないか…」






夏美は横目で冬彦の態度を確認した後、背中を丸めて、いじけたような声を出した。







「ご、ごめん…」






冬彦は彼女が気分を害したのかと思って、咄嗟に謝った。







「ううん…いいのいいの。あの頃の私は今とは全然違うし…冬彦ともあんまり話してなかったしね…」










そう言うと、夏美は少し顔を上げ、遠くを見ながら話し始めた。
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