「キカイ」の子
「…どうしたの?夏美…」
冬彦はそう言いながら、指先で夏美の頬を拭った。
「…嬉しいの…もう、雪なんて見られないと思ってたから……」
「…そう…」
「……雪は冬の象徴…」
「え…?」
冬彦がそう訊くと、夏美は笑って話した。
「気付いてた?冬彦?私達の名前には季節があるの。椿の春に…夏美の夏…鍬の秋に…冬彦の冬。」
「……ああ、本当だね!気付かなかった。」
楽しそうに話す冬彦の隣で夏美は悲しい顔をした。
「でも、私の名前は秋まで……冬には届かない……」
「夏美……」
……病気と重ねてるんだな…
秋までしかもたない命。
冬に会うことの出来ない命。
夏美の心を察した冬彦は、穏やかな笑みを浮かべて話した。
冬彦はそう言いながら、指先で夏美の頬を拭った。
「…嬉しいの…もう、雪なんて見られないと思ってたから……」
「…そう…」
「……雪は冬の象徴…」
「え…?」
冬彦がそう訊くと、夏美は笑って話した。
「気付いてた?冬彦?私達の名前には季節があるの。椿の春に…夏美の夏…鍬の秋に…冬彦の冬。」
「……ああ、本当だね!気付かなかった。」
楽しそうに話す冬彦の隣で夏美は悲しい顔をした。
「でも、私の名前は秋まで……冬には届かない……」
「夏美……」
……病気と重ねてるんだな…
秋までしかもたない命。
冬に会うことの出来ない命。
夏美の心を察した冬彦は、穏やかな笑みを浮かべて話した。