「キカイ」の子
冬彦が机に向かい直し、本を開いた。




その本には、また、高校生でも解くのが難しい問題が、たくさん載っていた。








冬彦はその本に向かったまま、手だけを動かし、ジッと座っていた。








彼が再び窓の方を向くことはなかった。










それから、数時間経った後、彼の部屋の扉が小さくノックされた。






「冬彦。夕食ですよ。」






郁恵の声が、扉の向こうから聞こえた。






「はい。母さん。」




冬彦は、そう答えた後、本を閉じ、階段を降りていった。





窓の外はもう暗くなり、雲行きは分からなかった。
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