「キカイ」の子
『歯車』…










いつだったか、冬彦が生きることの意味を夏美に尋ねた時の彼女の答えだ。











…人は、社会にとってはいくらでも代えのあるちっぽけな部品








だけど、一人一人が噛み合い、上手く回る歯車などそうはない…









だから、人は出会った人を大事にすべきなんだ…









能力や学歴の大小や高低など、人としての…心の歯車には関係がない……












そんなものは、人が楽しく生きる事には…










人が誰かを好きになる事には…










人が誰かを愛する事には…














関係ないんだ。









どんなに優れた能力があっても、心が無い人は、誰も愛せない。









誰も幸せに出来ない…













それを言葉で…身体で…心で…夏美は教えてくれた…
















冬彦の意識が徐々に、真っ白に染まって行く。
< 352 / 363 >

この作品をシェア

pagetop