「キカイ」の子
「わかんねぇよ…何で冬彦も死んじまうんだよ…何で二人共、オレに何も言ってくれなかったんだよ…なぁ…なぁっ!!」









「透っ!」









健一は透の頭を胸へと抱え込んだ。








「わかんねぇ……わかんねぇよ……」









透は、健一の腕の中でその言葉を何度も繰り返している。











「…わかんねぇよぉぉぉぉっ!」










透は胸の内にある様々な感情を吐き出すように、思いっきり叫んだ。












「透…」










健一は、腕の中で泣きじゃくる息子の頭を優しく撫でながら、心の中で彼に謝る。












冬彦達が死ぬ事は分かっていたのに、それを告げなかった罪悪感から出た謝罪だった。











そして、健一は厳しい目で、友である聡を見ながら、透に誓う。















同じ過ちは繰り返させない。














彼の目には、その決意が光となって灯っていた。
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