「キカイ」の子
透達は持ってきた花を供えると、手を合わせて目を瞑った。









「…あれから…もう……十年か……」











目を開けた透が低い声で呟いた。










「……冬彦、夏美…その、……悪かったな…全然来なくて……気持ちの整理がしたくってさ………」









透はそう言った後、茜の肩に手を回し、抱き寄せた。









「ちょ、いきなり、何?」








戸惑う茜をよそに、透は中学時代と変わらない悪戯っ子の笑みを浮かべ、冬彦達に話し掛ける。









「来月、茜と結婚する。だから、その報告に、今日は来たんだ。」







「透……」









透は一目だけ茜を見ると、また墓に目を戻して話し始めた。
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