「キカイ」の子
「ちょっと…我ながら…未練がましいとも思うよ…たまに、あいつは……夏美、お前に似てる。」







透はしばらくの間、夏美の墓をじっと見据えていた。









彼の周りを穏やかな風が包んでいる。









「じゃ……取り敢えず今日は帰るよ……多分、いや……絶対にまた来るよ……」









そう言って帰ろうとする透の背を強烈な風が押した。

















「頑張ってね、透…」






「しっかりやんなさいよ?透?」









その時、懐かしい声が聞こえた気がして、透は慌てて振り返った。









「はは…気のせい…だよな…?」














誰もいないことを確認した後、透は空を見上げながら呟いた。
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