「キカイ」の子
「冬彦っ!?どうしたの?」






冬彦の様子に気づいた郁恵が、声をかけた。





「何でもないです…お母さん…」





胸を押さえ、少し苦しそうな顔で、冬彦はそう答えた。







その言葉を聞いた郁恵は、まだ不安そうな顔をしていたが、少し落ち着いたようだった。








「ねぇ…聡さん?」


郁恵は聡に、低い声で話し掛けた。


「…な、なんだ…?」



冬彦の異変に、呆気にとられていた聡が、なんとか応対した。





「冬彦にも…休息が必要なんじゃないかしら?」




郁恵は、冬彦の方を横目で見ながら、聡に提案した。
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