「キカイ」の子
聡は、透の父である健一と親しかった。



「あの宮瀬さんの息子さんとなら、マズいことに巻き込まれることもないだろう。」




聡が、なぜこうも宮瀬 健一に厚い信頼を置くのかと言うと、宮瀬家が医者の家系だったからだ。





それに、健一自信の人柄も良く、息子の透がお調子者なのに対して、健一は穏和な性格だった。






「えぇ、宮瀬さんの所なら、躾もしっかりしてらっしゃるでしょうしね。」






郁恵も少し不安があったのだが、宮瀬、という名が出た途端に、その不安は消え去ったようだ。






聡は、うむうむ、と何度かうなずいた後、冬彦に向かって尋ねた。






「一緒に行くのは、宮瀬君だけか?」





その質問に、冬彦は言葉を詰まらせた。


夏美のことは、両親に話し辛かったのだ。
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